成年後見制度は、次のような場合に利用を検討すべきであるとされています。
1.ひとり暮らしの老後を安心して過ごすことができるようにしてあげたい。
2.必要のない高額な物を買わされないように、守ってあげたい。
3.高齢者施設にいる親の年金を持ち出してしまう兄弟に困っている。
4.高齢者施設に入所するための契約をしたり、その費用を代わりに支払いたい。
5.認知症の親の
不動産を売却して、高齢者施設の入所費にあてたい。
6.寝たきりの親の面倒をみて、事実上財産管理をしてきたが、その財産管理に
ついて、他の兄弟から疑われている。
若干補足をします。
※ 認知症になっている疑いがある場合には、本来、高齢者施設に入所するため
の契約等が有効にできるのか法律上問題があります。
後々、問題が生じないようにするためには、きちんと後見人選任の手続をし
たほうがよいと言えます。
※ 認知症になっている疑いがある場合には、その所有する
不動産を有効に売却
することができません。司法書士が売買による所有権移転登記手続きをする
場合には、当事者双方の意思確認をし、問題がないと判断して初めて登記申
請をします。認知症の疑いがある場合には、売主としての意思を確認するこ
とができない場合が多く、売却によって高齢者施設の入所費にあてたいとい
う目的が、達せられない場合があります。
※ 後見人の選任手続をせず、相続人の1人が事実上、財産の管理をしている場
合が多いと思われます。しかし、この相続人が、時間を犠牲にして財産管理
をしているにもかかわらず、後日、相続が開始した場合に、開始前の財産管
理について疑いを受けるということが、現実に多く発生しています。
そのため、
遺産分割手続きがスムーズにいかなくなります。
財産管理時の領収書等をすべて保管している場合を除いて、お金の使途を思
い出すことも、証明することも難しいのではないでしょうか。
正式に後見人に就任すれば、支出等については
家庭裁判所への報告を通して
管理がなされることになるため、あらぬ疑いを受けたりすることはなくなる
のではないでしょうか。
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