1 父が死亡、子3人が相続人だが、長男は以前から父名義の家に同居しており、
父死亡後も住み続けている。長男に対し明渡し請求はできるか。
⇒ 父の死亡により共同相続人の共有となるが、相続開始以前から被相続人と同居
していた場合には、被相続人と同居の相続人との間で、被相続人が死亡した後
も、遺産分割により建物の所有関係が確定するまでは引き続き同居の相続人に
これを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのが一般的であると
するのが判例です。
⇒ 従って遺産分割が成立するまでは明渡しを求めることはできないし賃料相当分の
請求もできないことになります。
2 賃貸不動産の賃料債権
⇒ 遺産に属する賃貸不動産から生じた賃料債権で、遺産分割前に生じたものについ
ては、「遺産と別個の財産というべきであって各共同相続人がその相続分に応じ
て分割単独債権として確定的に取得する」とするのが判例です。
3 賃借権(一般の場合)
夫名義で建物を借りていたが夫が死亡。賃借権はどうなるかという問題です。
⇒ 相続の対象であるが、例えば子がなく妻との兄弟姉妹が相続するような場合、
遺産分割協議を早めにするべきであるが、それ以前でもこの場合には妻が過半
数の持分を有しているため居住できる。
⇒ なお、貸主から名義書換料として金銭を請求されるケースもあるが法的には支
払い義務はありません。
相続・遺産分割トップページへ戻る方は、こちらをクリックしてください。