通常、被相続人の死亡時期については特に問題はありませんが、以下では特殊な場合に
つき説明します。
1 高齢者消除について
所在不明の100歳以上の高齢者について、到底生存の見込みがなく、すでに死亡し
ていると認められる場合に、市町村長が管轄法務局または地方法務局の長の許可に
より職権で死亡の記載をすることがあります。
この戸籍の記載があれば死亡したものとして相続手続ができるかという問題です。
⇒ 高齢者消除は、あくまで戸籍を整理するための行政上の便宜措置であり、死亡時
期を明らかにするものでもありませんので、この記載のある
戸籍をもって相続手
続(相続登記)をすることはできません。この場合には別途、
失踪宣告の手続を
とらなくてはなりません。
2
失踪宣告(普通失踪)について
不在者の生死が不明になってから7年が経過した場合に、利害関係人から不在者の
従来の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
失踪宣告を受ければ、7年間の期間が満了した時に死亡したものとみなされ、
相続
が開始します。
3 認定死亡について
水難・火災その他の事変によって死亡したことは確実だが遺体が発見できないよう
な場合に調査にあたった官公署が死亡を認定して死亡地の市町村に報告し、市町村
はこの報告に基づいて戸籍簿に死亡の記載を行うものです。
認定死亡によってその人は一応死亡したものと取り扱われ相続が開始します。
4 同時死亡の推定について
事故や災害などで複数の親族が死亡した場合に、誰が先に死亡したか分からない場
合があります。このような場合には、
民法は同時に死亡したものと推定するとして
います。
この同時死亡の推定規定によって次のようになります。
(例) Aの父X Aの母Y Aの配偶者B AとBの子C
※ Cには配偶者と子はいない。
Aが3000万円 Cが1200万円持っていたとします。
(1)Aが死亡した後にCが死亡
⇒ Aの財産はBとCが相続 Cの死亡によりCの財産はBが相続
結局Bが全部相続(B:4200万円)することになります。
(2)Cが死亡した後にAが死亡
⇒ Cの死亡によりCの財産はAとBが相続(B:600万円)
Aの死亡によりAの財産はBとXYが相続(B:2400万円、最終的には
3000万円)することになります。
(3)AとCが同時死亡の推定を受ける場合
⇒ AとCと間では相続が発生しない
⇒ Aの財産はBとXYが相続(B:2000万円)
Cの財産はBのみが相続(B:1200万円、最終的には3200万)するこ
とになります。
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